山の手入れ

 たくさん植えて、何度も間引く。その手間が、美しい年輪をつくりあげます。

年輪とは、一年一年刻まれる木の歴史。奈良の木の特長の一つは、この年輪の幅が細かく、均一であるということです。

同心円で緻密な美しい年輪は、木を守り育ててきた人たちの技術と愛情の結晶。何百年という途方もない時間をかけ、彼らが代々受け継いできた育成方法によってつくりあげられたものです。

吉野の山の手入れを紹介します。

密集して、植える

 一般的な林業では、1ha(100m四方の面積)あたりに苗木を3,000本植えるのが目安といわれています。

しかし吉野では、1haあたり8,000〜12,000本。密集して植えることで木は太くなりすぎず、幹の上部と下部で太さがあまり変わらないまっすぐな木が育つのです。


何度も間引き、密度を調整

 木々の間隔を空けすぎないように気をつけながら何度も木を間引き、森林の混み具合を調節していきます。

この作業を、苗木を植えてから3〜5年周期で繰り返し、密集して植えた木を30年で1haあたり3,000本にします。

その後、70年くらいまでは7〜10年周期で、以降は15〜20年周期で…という具合に、何度も何度も間引きを繰り返していくのです。

このように、密度を調整しながらゆっくり丁寧に育てられた木の年輪は、均一で非常に細かいものになります。


育林技術(大径材)

 密植・技打の励行という集約的な育成の結果、いわゆる吉野材としての名声を馳せており、無節・完満・通直・本末同大・年輪幅の均一という良材であって、銘木・磨丸太という特殊な材を産出しています。

元来は、酒樽から発生してきましたが、酒樽生産が殆ど行われなくなった今日においても、ほぼその根本の育成に変わりません。

樹種及び品種

 いわゆる吉野スギの品種は明らかでなく、現在造林されているのは、春日スギまたは屋久スギからの苗木を導入したものが起源といわれています。

自村の優良木から採取した種子を川上村森林組合が委託養苗することで一般に優良種苗の確保を行っています。

植 栽

 植栽本数は、最近の傾向として7000~8000本/ha程度で、奥山ではやや少ない。かつては適確な地味判定が行われたのちスギ・ヒノキの混植法がとられました。地味の状態によリスギ80%、ヒノキ20%からスギ20%ヒノキ80%の間で単純一斉林の成立を避てきました。

 しかし、近年は同一樹種植栽が増加し、ヒノキ林が70%程度となっています。山行き苗は、スギ2年生・ヒノキ3年生が主となっています。

保 育

 下刈は、植栽後3年までは年2回刈り、4~6年の間は年1回刈で行われます。

下刈時期は、2回刈は6月下旬と8月中旬、1回刈は8月下旬です。谷から等高線沿いに1人2m幅で刈り進み、峰へと登っていきます。

 刈株を低く特に苗木の根本は細いつる草まで丹念に刈り取られます。つる切りは6~8年目に行われ、9~13年目に吉野独特の「ヒモ打ち修理」と称する生の下枝の切落とし、劣悪木の伐倒が行われます。ヒモ打ちは10月~3月までの間に行われ、打上げ高さは約1.5mで林分密度の調整とともに、林内作業を容易にする目的で行われます。本格的な除伐は、14~17年目に被庄木・形質不良木及びスギは花や球果の着生しているものを対象として行い、本数で25~30%程度です。

 間伐はスギ16~20年目から始め、40年頃までは3~5年に1回、さらに70年頃までには7~10年目に1回、以後10~20年に1回の割で行う。このうち30年前後位までに行う間伐は、保育を目的として行われ、40年以後に行われるものは利用を主目的とする。

ヒノキは20~25年日と30~35年目にそれぞれ20~25%程度に行い、以後は成長に応じて行う。最近は、小径材・間伐材の売行き不振によって除間伐の遅れが見られるようになり、この対策が緊急な課題となっています。

 スギ一般用材仕立林でも早期の間伐材の価値を高める目的で、枝打ちが行われるときがある。ヒノキは20~25年・30~35年・40~45年日の3回で打止めとする場合が多い。最初は2m、次回以降は4mのムカデ梯子をい、手斧で極めて丁寧に打ち落としています。


出典:吉野林業


奈良の木づかい運動(PR動画)

奈良の木づかい運動推進月間PR動画 (3:16)

毎年10月は「奈良の木づかい運動推進月間」です。

吉野の山を守る山守さんの生活を紹介します。

自然に畏敬の念を持ち、木を育てています。

山作りは、1年や2年でできるものでもなく、また1人でできるものでもありません。

1年1年の人と自然の積み重ねが、年輪となって10年・50年・100年といった大きな年輪を作り上げています。

だからこそ、吉野材の特徴のひとつである年輪幅の均一性、それは途切れることなく人と自然が調和し、作り上げた芸術作品です。


□当社のご紹介


ご挨拶
日頃は一方ならぬご愛顧を賜り、心より御礼を申し上げます。
社寺仏閣への納材事例を掲載しています。
社寺仏閣への納材事例を掲載しています。吉野の杉・檜をお選ぶいただき誠にありがとうございます。
一般住宅の納材事例
一般のお客様への納材だけでなく、有名旅館、ホテル、老人ホーム等からもお選ぶいただいています。